みなさん歌うときは姿勢を気にされてますか?
歌うということは、自分自身の身体パフォーマンスをできる限り開放することでもあります。
無理なく、本来持っている素晴らしいサウンドを生み出すためにも、正しい姿勢の状態を理解していきましょう!
1.ボイトレの3つの基本姿勢
ボイトレを行って、効率の良い発声を身につけるには、からだの姿勢が深く関わってきます。
間違った姿勢で、ボイトレしていても変な癖が身についてしまいますし、最悪、発声に深刻な影響を与えてしまう可能性があります。
まずは、姿見の鏡などで、客観的に自分自身の姿勢に変なクセがないか確認しましょう。
ここでよく「自分の姿勢がまっすぐなのかよくわからない。。」という声を耳にします。
そこで、いまからボイストレーニングの現場でよく使われる3つの姿勢を紹介していきます。
姿勢の自己チェックに役立つと思うので、ぜひ覚えていってください!
姿勢1.仰向けに寝る
床に仰向けに寝転がりましょう。
もっともリラックスした姿勢をすぐに作ることができます。
手順は、
①仰向けに寝転がり、寝たまま「気をつけ」の姿勢をとる
②胸を開くように、手のひらを上に向ける
③背骨のS字カーブを意識する
④腹式呼吸を繰り返す。息を吐いたら腰に隙間が、息を吸ったら腰の隙間が狭くなるイメージ
ポイントは、呼吸を繰り返すことで、自然なからだの動きの中で、きれいな姿勢のキープが保つことができているかが確認できます。
姿勢2.いすに座る
ありふれたパイプ椅子などで十分です。
座ると腰回りのバランスが確認しやすいです。
手順は、
①背もたれにもたれず、いすの真ん中あたりにどっしり座る
②座ったまま「気をつけ」の姿勢を作る
③肩から手にかけて腕全体を外向きに180°回転させて、胸をはった状態をつくる
④腕の回転を戻して、姿勢を正したまま腹式呼吸を繰り返す
ポイントは、軽い鳩胸をイメージする感じです。それくらいがちょうどいい場合がほとんどです。
姿勢3.壁を背に立つ
最後に立って確認します。
普段、歌う姿勢にもっとも近い形です。
手順は、
①足は肩幅くらいに開き、かかとは半歩分くらい壁から離して、尾てい骨から上の上半身を壁に寄りかかります。
②「気をつけ」の姿勢をつくる
③ぶら下がっている腕を外側にぐるりと回転させて、胸を開く
④腰は手のひらがちょうど通るくらいのスペース
⑤胸と肩をなるべく上下しないように腹式呼吸を繰り返す
すぐに胸や肩を使って呼吸しょうとしてしまう方は、一番下のあばら骨を両手のひらで触れて、そこを動かさないように息を出し入れするようにしてください。
かなり腹式呼吸に持っていきやすくなるかと思います。
2.立ち姿勢の重心バランスを覚えよう!
「立つときは真っすぐ背筋を伸ばすもの!」と僕たちは洗脳されてきましたが、背筋がまっすぐになるはずがありません。
僕たち人間の体は、直立歩行を始めてから、地球の重力に適応するために何万年もかけて、現在の人体の構造を作り出してきました。
どんな文献を漁っても、背骨が棒のように直線的に描かれているものはありません。
「背骨はカーブしているのです!」
ついつい、歌っている最中はこれを忘れて、全身カチンコチンで発声していたりすることがあります。
そこで、立ち姿勢でも本来の自然な姿勢を保つために、覚えておきたいポイントを紹介していきます。
上から順番に6か所意識しよう!
「歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと」というアレクサンダーテクニークについて書かれた著書があって、その中で姿勢について体系的に具体的に解説してくれている「バランスをとる6つの場所」という項があります。
「歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと」によると、
上から
AO関節=頸椎と頭蓋骨を接続する関節
腕構造=鎖骨、肩甲骨、腕、手
腰椎=脊柱(上半身全体)を支える要
股関節=ふとももと骨盤の関節
膝関節=ひざの関節
足関節=いわゆる足首
実際に立ち姿勢で6つのポイントを確認する場合は、足関節から下から順番に、「重力を垂直に感じながら」6つの場所をバランスよく乗せていくイメージをもっておこなうと解りやすいです。
参考文献:歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと 11P「第2章 バランスをとる6つの場所」
関連記事:自宅ボイトレ(ボイストレーニング)やり方のコツ 発声の5ステップを意識する! ステップ1 呼吸
3.姿勢が崩れやすい3つのポイント
いくら姿勢キープを意識していても、自然と崩れてきやすいものです。
どうなると姿勢は崩れやすくなるのか、ポイントがあるので、あらかじめポイントをおさえて、より自然な発声スタイルを確立していきましょう。
①ブレスのタイミング
ブレスタイミングがメロディラインの流れとかみ合っていないと、バランスを崩します。
ブレススピードのバリエーションを意識しましょう。
ブレスはメロディラインに合わせて、半拍、1拍、2拍などで長さを決めておきましょう。
②サビで力む
よく見かけるパターンですね。
サビだから、ここぞ!とばかりにがなり立てるように歌ってしまう人。
悲しいかな、気持ち良いと勘違いしているのは、歌っている本人さんだけです。。
サビまで落ち着いて歌ってきたものが、すべて台無しになります。
たとえサビ部分だとしても、自分にとって丁度良いボリューム感を心がけましょう。
③スタミナの消耗
「②サビで力む」とも繋がってきますが、全体の曲構成をイメージせずに歌っていると、ペース配分を見失います。
ボリュームコントロールが崩れると、バランスを取り戻そうとブレスも乱れてしまうことになります。
曲の流れをしっかり意識して、決まったブレスタイミングでコンスタントに息継ぎを行えるように反復練習を進めていきましょう!スポンサーリンク
4.正しい姿勢の習得は反復が最重要
ボイトレ全般にも言えますが、ボイストレーニングはスポーツのトレーニングに通じる部分がたくさんあります。
スポーツで素振りやフィジカルトレーニングが重要なように、ボイトレも生身の体を楽器として使っていくので、体の使い方を知ることは最重要です。
頭で理解することも大事ですが、自分の体が自由にスムーズに動いてくれるように、繰り返しシンプルなトレーニングで自然な動作を身体に覚えさせることが大切です。
けっこう上手に歌えているシンガーさんでも、ボイトレの発声トレーニングを行ってみたら、発声がぐちゃぐちゃになってしまう方もたまに見受けられます。
おそらく、感覚重視で歌ってきたのでしょが、コンディションのばらつきによるパフォーマンスの良し悪しも大きくなってしまいがちです。
特にライブ活動を行っていて、これだと致命的です!
歌う場面でも、スケールによる発声練習でも、再現性を向上させるために、自分自身の自然な体の状態、保ち方を知っていることはとても役立ちます!
シンプルな確認やトレーニングも「退屈」とは考えずに、「自己再発見」を進めているように捉えて取り組んでいきたいですね!